宮崎県グラフ誌「Jaja」じゃじゃ

 

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みやざき杉

400年の歴史をもつ「飫肥杉」が原点。
建築材から、暮らしに潤いを与える「生活素材」へ。

みやざき杉

日南市の広渡川から油津港につながる堀川運河は、全長984m、幅約30mの運河で、江戸時代初期に木材を運搬するために開削された。

運ばれた木材は、日南の山林から切り出された「飫肥杉」で、樹脂を多く含み、水をはじきやすく、軽量で強度が高いことから船づくりの材料(弁甲材)として盛んに利用された。

宮崎県の杉は、400年ほど前に飫肥藩が植林したこの飫肥杉が始まりで、戦後の拡大造林により、県北の耳川流域などでも植栽が行われるようになる。太平洋に面し、気候が温暖のうえ、比較的山がなだらかで表土が厚い宮崎は、杉が生育するのに最適な土壌を持っており、有数の産地に成長。平成3年からは22年連続で生産量全国一位を続けており、「みやざき杉」として、約6割を県外へ出荷している。

そうしたなか、みやざき杉のもつやさしい香りや、風合いの良さ、耐久性の高さなどを見直し、付加価値を高める動きも始まっている。

日向市駅とレストラン「樹樹」
写真左)日向市駅。内装から外装までいたるところにみやざき杉が使用されている 写真右)みやざき杉をふんだんに使った宮崎市内のレストラン「樹樹」

日向市では「木の文化のまちづくり」をテーマに、行政と市民が一体となり、駅舎や街灯、車止め、ベンチや手摺りといった部分にみやざき杉を採用。また空の玄関口、宮崎空港では搭乗口手荷物検査場の全面にみやざき杉を使う改装がなされた。

弁甲筏流しとみやざき杉を使ったパーティション
写真左)杉材を筏に組んで運ぶ「弁甲筏流し」。昭和初期まで日南市の堀川運河でみられた光景で現在はイベント時に再現される 写真右)宮崎空港の手荷物検査場に設置された、みやざき杉を使ったパーティション

単なる建築材ではなく、暮らしに潤いを与える「生活素材」として、みやざき杉の活用がこれからも期待される。