掲載開始日:2025年12月3日更新日:2025年12月3日
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世界農業遺産(GIAHS)とは、国際連合食糧農業機関(FAO)によって認定される、伝統的な農林水産業と、それが育んできた文化、景観、生物多様性が一体となった地域システムのことです。これらの地域は、現代も持続可能な形で営まれ、将来にわたって継承されるべき重要な農業システムとして評価されています。
東臼杵地域(諸塚村・椎葉村)を含む「世界農業遺産高千穂郷・椎葉山地域」は、今年で認定10周年の節目を迎え、令和7年10月31日、高千穂町で記念シンポジウムが盛大に執り行われました。これまでの10年の歩みを振り返るとともに、未来への決意を新たにする1日となりました。

式典の各種プログラムの様子をハイライトでお届けします。
記念行事の中心として開催された記念式典では、長年にわたり地域の保全と継承に貢献された方々への功労者表彰が行われ、その功績が称えられました。
未来を担う世代と専門機関からの研究報告も注目を集めました。
五ヶ瀬中等教育学校の生徒たちは、当地域における山腹用水路の特異性に関する調査研究について発表。宮崎大学GIAHS研究会からは、持続可能な農林業のあり方や地域資源に関する研究報告が行われ、地域の未来を支える示唆に富んだ内容でした。
続く基調講演では、総合地球環境学研究所上廣環境日本学センター客員教授の阿部健一氏が登壇。「世界が認めた高千穂郷・椎葉山地域の価値~変化の時代に見つめ直す、地域の本質~」と題し、当地域の多面的な価値と、それが未来へと継承されることの重要性を深く解説され、参加者は熱心に耳を傾けました。

基調講演
パネルディスカッションでは、「山の暮らしから未来を展望する」をテーマに、地元の農家、経営者など各町村を代表した5名のパネラー、そして基調講演を行なった阿部氏が登壇し、それぞれの立場から地域の課題と展望について活発な議論が交わされました。特に、若者の地元定着や新たな価値創造の必要性が強調され、多くの気づきが共有されました。
式典の終盤には高千穂高校と五ヶ瀬中等教育学校によるユース宣言が行われました。「まじわる」をキーワードとして、次世代を担う若い世代が世界農業遺産の価値を未来へ繋いでいくことへの決意を表明し、会場は大きな拍手に包まれました。

GIAHSユース宣言
企業による商品紹介コーナーも設けられ、地域の特産品と企業の技術やアイデアが融合した魅力的な商品が多数展示されました。これらは地域の新たな魅力発信や経済活性化に大きく寄与するものと期待され、来場者は強い関心を示していました。

企業とのコラボ商品
この10年間は、高千穂郷・椎葉山地域が世界農業遺産として国内外にその価値を発信する、まさに飛躍の期間であったと言えるでしょう。豊かな自然と共生し、先人たちが築き上げてきた独自の農林水産業の営み、そしてそこから生まれた文化や美しい景観は、未来へと繋ぐべきかけがえのない財産であると改めて認識されました。今回の記念行事は、地域が一体となってその価値を再認識し、来るべき次の10年、さらにその先を見据え、この豊かな恵みを持続可能な形で守り育んでいくことへの決意を新たにする貴重な機会となったようです。

モザイク林

焼畑

椎茸
出先機関共通
宮崎県東臼杵農林振興局
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